これまで、卜筮正宗(ぼくぜいせいそう)を読み解くシリーズを何度か書きましたが、同じく五行易の名著と呼ばれる増刪卜易(ぞうさんぼくえき)を読み解いていきたいと思います。
この本も読むには非常に時間がかかりますので、買う人は十分注意してください。
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この例は第二十一・三刑章に書いてあった例です。
寅月庚申日(子丑空亡)に子の痘症を占って、風火家人変離卦を得るが如き
とあります。
風火家人が離為火に変わる卦です。
子供が痘症(感染症)に罹ったので、その吉凶を占ったのでしょう。
結果は寅日の寅刻に亡くなったと書いてあります。
卦を見ると子孫巳火が五爻にあり発動しています。
月から生じられて強くて、忌神からの剋もなく非常に強いのですが、なぜか子供は亡くなってしまいました。
良く見ると日が申金で巳火と三刑になっています。
また、月が寅でこれも巳火と三刑です。
なので、二重に刑の影響を受けて亡くなったのだ・・と説明しています。
でも正直これだけでは、亡くなってしまった理由には不十分です。
基本的に用神は弱ければ刑の影響を受けやすいですが、今回の場合は非常に用神が強いので五行易の理屈に合いません。
なので、何故亡くなったのかを補足説明していきたいと思います。
子孫巳火は発動して妻財未土に変わります。
四爻の妻財未土が発動して官鬼酉金に変わります。
そうすると子孫巳火→妻財未土→妻財未土→官鬼酉金の流れになります。
つまり、これは動爻同士が繋がると言うことで遠隔化爻(えんかくけこう)になります。
官鬼は死者、死体の意味があり、病気の占いでは凶です。
子孫は最終的には官鬼に変わるということで、子供は亡くなってしまう(死体に変わってしまう)という意味になります。
また、官鬼酉金は火の五行の死の地ですので、これも死亡の意味合いが強くなる要因です。
ちなみに日は申金で巳火と相合しています。
相合は引っ張る、邪魔、足止めの意味があります。
なので、まだ子孫は官鬼に変わっていないということになりますので、占った時は亡くなっていないということです。
また、日は申金で火の病の地ですので、病気に罹っているという暗示もあります。
まだ理由はあります。
子孫巳火は妻財未土に変わるということは、火のエネルギーを漏らされて弱くなることで、同時に魂の意味のある原神を墓に入れるということです。
日は申金で原神の兄弟卯木を剋して弱めます。
以上のことから総合的に見れば、亡くなると判断できるのです。
※もし、四爻の妻財未土が発動していなかったら亡くなっていなかったでしょう
ではなぜ寅日に亡くなったのでしょうか?
日は申日です。
申金が巳火を相合させています。
となると、応期(物事の発生期)のルールで見れば相冲が有力候補です。
なぜなら、動爻が相合していますから今は動けないということです。
もし冲されれば、相合が解かれて動けるという意味になります。
寅木は日の申金を冲する十二支なので、申金の相合が解かれて応期になったのです。
※これは変則的な応期の見方です