さて前回の続きですが、『劇場版モノノ怪・唐傘』の外出運をなぜ天風姤で表現したかを説明していきたいと思います。
まず天風姤の形ですが、上の卦が『乾』でこれは丸い物を表します。
下の卦が『巽』で細長い物や樹木を表すので、この組み合わせの時点で傘を表して、この映画のタイトルの唐傘を暗示しています。
私のブログの記事を読んでもらうとわかるかと思いますが、
外卦が乾で強いもの、すなわち剛(男性)を意味して、内卦は巽でやわらかい、すなわち柔(女性)です。
この組み合わせは乾が外側を守り、巽が内側を充実させていることで、剛と柔が互いに助け合っているのです。
強い王(皇帝)に柔和な女性が保護されている形であり、これを后(きさき)という概念になり、非常に貴重な事であることです。
作品の舞台は大奥であり、天子に保護された場所ということで、上記の意味にピッタリですね。
初爻は丑土であり、足→歩く意味で、同時に金の墓であり、五爻は道で兄弟があり、兄弟は友達や同僚の意味があり、ストーリーは大奥に勤めることになった新人2人の偶然の出会いからスタートするので、天風姤の意味に合致します。
応爻は官鬼であり、官鬼はお勤めという暗示があり、これも上記の意味を補充します。
また官鬼は霊で螣蛇は不思議や怪異となり、意味を合わせると幽霊、妖怪の暗示です。
世爻の丑土は子水と相合するので、もともと水が溜まる場所の意味があります。
初爻は地面や地下も暗示しています。
作品を観てもらえばわかりますが、水は重要なキーワードになっています。
妻財はそもそも好きな物、大切な物という意味があり、そもそも日用品や道具の意味もあります。
妻財寅木が亥水に隠れて相合して、水の中に隠れていることです。
月日は未土で入墓して、未土は八卦の『坤』に対応します。
坤はそもそも年老いた女性、母、母性の意味があり、墓に入れれば捨てるという意味になります。
主人公の薬売りが使う(使われる?)『退魔の剣』は全64種類(卦)あり、今回の剣は『坤』という名前です。
※↓下の画像はテレビシリーズでの設定で、前作は『離』の剣だというのがわかりますね。
六爻にある父母戌土は天の意味で、六爻も天の意味です。
玄武は目に見えない場所、あの世の意味を持ちます。
官鬼の墓なので、モノノ怪が清められ戻っていく場所でもあります。
月日(未土・坤の剣)は官鬼を相合させるので、動きを止め捕え無効化するという暗示です。
そもそも薬売りも人間じゃなくて、霊体に近い存在と思われますので、天(太極?)からの使者とも言えなくはないです。
なので、卦自体(現実世界)には現れず、月日(天)に現れることで表現したのでしょう。
今回の例のように、一つの卦でも外出運だけではなく、映画の内容もここまで表現してくれるのです。
話は変わりますが、『劇場版モノノ怪・唐傘』はぜひ映画館で観てほしいですね。一瞬で作品の世界に引きずり込まれますよ。
この作品は3部作の第1部になってますので、続編の『火鼠』も楽しみです。
映画観ましたが、ここまでの深みがあったとは…。感動しました。さすがです。
コメントありがとうございます。素晴らしい映画でしたね。