前回はニート的な意味の天山遁(てんざんとん)でしたが、
今回は
天地否(てんちひ)
になります。
天の意味のある乾(けん)と地の意味のある坤(こん)の組み合わせであり、大空と大地の美しい地平線の風景が想像できるので、パッと見は良さそうですが、
実はあんまり良くない意味になります。
こういうのがおもしろいんですねー、易の解釈の深みというんでしょうか。
それでは、その理由を説明していきましょう。
卦自体の構造を見てみると、上半分の外卦は乾(けん)であり、もっとも抽象的な解釈であれば、陽の意味です。
下半分の内卦は坤(こん)であり、陰になります。
陽の気は上昇する性質を持ち、陰の気は降下する性質を持っています。
そうなると、陽が上って陰が下ることにより、陰陽の二つのエネルギーが一つになれず、上るものはますます上に、下るものはますます下になり、陰陽が分離して交流できません。
天と地が背を向け合って、互いを認め合ってない状態なのです。
それで、塞ぐとか通じないという意味の否となりました。
六親五類と爻位から見ると、自分を表す世爻は三爻(下から三番目)にあり、三爻は門の意味があります。
これは、自分が門に立ってこれから外に向かおうとしている情景です。
次は応爻の父母戌土を見てみましょう。
応爻は他者、他所、相手の意味があります。
戌土は土の五行で、六爻(一番上)にあり、高い土を表し、もっと具体的に解釈すると、山の意味になります。
また、戌土は世爻の妻財卯木と相合関係であり、相合の意味は引っ張る、くっつく、動けなくする、邪魔をするなどです。
そうすると、こんな情景が想像できます。
門の前に山があり、門から出ようとしても山が邪魔になり、道が塞がれ行こうとしても行けないさまです。
通じていないということは否ということになります。
スピリチュアルで自己啓発的に言えば、今のあなたはポジティブなもの(自分が都合がよいもの、気分が良くなるもの)だけを見ようとし、ネガティブなもの(都合が悪いもの、気分が悪くなるもの)を見ないようにしています。
ネガティブなものから逃げずに直視すれば、陰陽のエネルギーが交流して、否の状態から抜け出すことが出来るでしょう。
天地否は用神が月日の五行の助けを得て強くても、何かと邪魔が入りやすい卦になります。
※五行易は月日の十二支からの影響を見て、用神が強いか弱いかで吉凶を判断しますので、下記の説明は鵜呑みにせず、参考程度に留めてください。あくまで、卦自体の象、六親、爻位の関係性から見た仮の吉凶ということです。
仕事運 ★★
世爻に官鬼の原神である妻財があります。
こういう組み合わせの時は、仕事に関しては努力が必要になってきます。
何故かというと、世爻は自分で五行は木です。
官鬼の五行は火です。
世爻が動けば(努力、行動)木の五行が動くことになり、官鬼の五行の火を生じて強くすることが出来るからです。
異性運
男性の場合 ★★ 用神は妻財
恋愛の場合は世爻に妻財があり悪くはないですが、原神である子孫子水が初爻の隠れて伏神となっています。
ですが、飛神である父母未土に剋されて、長期的な付き合いをみると良くない暗示です。
結婚の場合は世爻に妻財があり、自分のところに妻がいることで一見良さそうですが、三爻(下から三番目)は門の爻位であり、応爻は他人で相合関係になり、これは他人に誘われて門から家の外に出て行く意味で良くないです。
女性の場合 ★★ 用神は官鬼
自分を表す世爻の両隣に官鬼が二つあります。
これは二人(複数)の男性のどちらを選ぶか迷っている暗示です。
また、世爻は木で官鬼は火ですから、自分から努力しないと長く付き合うことはできないでしょう。
金運 ★★★ 用神は妻財
世爻に妻財卯木があり、これは手元にお金が入ることで、短期的な金運を占うと良いですが、応爻に父母戌土があり相合関係になっています。
これは、応爻は他人の意味がありますので、最終的には他人の手の渡ってしまう暗示があります。
学業運 ★ 勉強、資格などの用神は父母、試験は官鬼
資格、セミナー、勉強を占えばあまり良くありません。
何故かというと、世爻に父母の忌神である妻財卯木があり、相剋関係になり不利になります。
試験を占えば、合格の意味のある官鬼が用神になりますが、世爻に官鬼の原神である妻財がありますが、女性の異性運で説明した通り、合格するのに努力が必要になるということです。
また、妻財はお金の意味がありますから、合格を勝ち取るのにある程度のお金が必要になる暗示でもあります。
応爻はライバルの意味があり、成績の意味のある父母があります。
これは、他のライバルが良く勉強している証であり、地支は戌土があります。
戌土は官鬼(火)の墓であり、応爻(他人)が合格を自分のものとする暗示でもあり、試験運は不利になるのです。
外出運 ★★
世爻が強ければそんなに問題ありません。
応爻は目的地ですが、金運で説明した通り、目的地で他人にお金が渡ってしまう(使ってしまう)ということで、出費が多くなる暗示です。
創造力・アイデア運 ★★ 用神は子孫
子孫の五行は水で、世爻の五行は木で相生関係で、五行の組み合わせは良いですが、肝心の子孫が伏神で隠れて、伏神となります。
伏神で隠れるということは、現状表に現れていないということです。
天地否の『否』は否定の否で、通じないという意味になります。
これは、自分の隠れた感情、思いを理性で否定して、自分自身で見えないようにしているのです。
ネガティブな感情は誰でもイヤなものですが、徹底的に観察して認めれば、いずれ消えていくでしょう。
健康運
天地否の否の意味は塞がることと説明しました。
世爻に食べ物の意味のある妻財があります。
内卦の坤は消化器官の意味があり、三爻はお腹の爻位です。
そうすると、妻財は排泄物の意味になりますから、便秘になりやすくなります。
また、この卦は六合卦で、初爻と三爻、二爻と四爻、三爻と六爻の十二支同士が相合関係になります。
相合は引っ張りあう関係なので、病気になればくっつく、離れない、安定の意味になります。
なので、かかったばかりの病気であれば、自分にそのままくっついてしまうということで、治りづらくなってしまうのです。
反対に長い病気であれば、もう自分にはくっついているわけなので、病状が安定して治癒に向かう暗示になります。
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